COPDについて
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は慢性閉塞性肺疾患の英名略称で、たばこの煙などの有害物質を吸入することが原因で気管支、肺胞に炎症が起こり、呼吸がしにくくなる病気です。日本ではCOPDの原因の90%以上が喫煙によるもので、70歳以上の6人に1人がCOPDに罹患していると考えられていますが、治療を受けておられる方はそのうちの1割に満たないと言われています。
症状
細気管支の炎症により咳、痰が出ます。また、気管支の慢性的な炎症により空気の流れが悪くなります。さらに肺胞にまで有害物質が到達すると、肺胞の壁が破壊され伸びたゴムのように肺の弾力がなくなるため(肺気腫)、空気を吐き出しにくくなります。病態が進行すると、日常の動作でも呼吸が苦しくなり、酸素吸入療法が必要となる場合もあります。
治療について
残念ながら、一度破壊された肺をもとに戻すことはできません。しかし、病気を早く発見して治療に取り組めば、症状を和らげたり、肺機能の低下を抑えることはできます。
COPDは慢性の病気ですので、患者さん自身が病気とうまく付き合い、治療を継続していくことが必要です。喫煙されている患者さんは、これ以上の肺機能低下を防ぐため禁煙することが何よりも重要です。また、急激な症状の悪化を防ぐため、毎年インフルエンザの予防接種を受けておかれることをお勧めします。薬物療法の中心となるのは気管支拡張薬です。内服薬や貼付薬もありますが、直接気管支に作用し全身的な副作用が少ない、吸入薬を使用することが多いです。気管支拡張薬には「β2刺激薬」「抗コリン薬」「テオフィリン」の3種類があり、重症度に合わせこれらを組み合わせて治療します。また、筋力が低下するとさらに呼吸困難が増悪しますので、適切な運動療法や、栄養療法を併用していくことも重要です。
このように、患者さん自身が日々の生活を管理することが重要な病気ですが、できるだけ安心して毎日を過ごせるようにサポートしますので、一緒に治療に取り組んでいきましょう。